担当理事:総務委員長 渕上俊則 (参加者:会場52名、オンライン参加27名 合計79名)

夏を思わせるような暑さが続いておりますが、皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。
さて、令和 5 年度最初の講演研修会を、国立がん研究センター中釜斉理事長をお迎えして下記の
通り開催いたします。
高齢化が進む我が国にとって、今や国民病と言われる“がん”は身近なものになってきました。
“がん”の早期発見と予防について、中釜理事長のお話しは示唆に富んだものと期待されます。
ご多用のことと存じますが、お知り合いもお誘いの上、是非ご出席いただきますようご案内申し
上げます。

  1. 日 時 令和5年7月1日(土)講 演:15時~16時30分
                     懇親会:16時30分~17時30分
  2. 場 所  三州倶楽部2階ホール (オンラインで三州倶楽部と結びます)
  3. 司 会  総務委員長 渕上俊則
  4. 講 師  中釜 斉氏 (国立がん研究センター理事長)
  5. 演 題 「最新のがん医療~早期発見と予防~」
  6. 懇親会  講演会終了後 (参加費3,000円)

講師紹介:中釜 斉氏 
1956年 鹿児島県南さつま市生まれ 
1975年 鹿児島ラ・サール高校卒業
1982年 東京大学医学部卒業 
1990年 東京大学医学部附属病院 助手 
1991年 米国マサチューセッツ工科大学 がん研究センター 研究員
1997年 国立がんセンター研究所 生化学部長
2011年 国立ガン研究センター 研究所長
2016年 国立がん研究センター 理事長

 

講演内容

 

添付資料掲載 [最新のがん医療~早期発見と予防~]は、こちらよりダウンロード

令和5年7月1日講演研修会 質疑応答
演題「最新のがん医療~早期発見と予防~」

〇質問者1
膵臓に嚢胞があります。定期的な検診が必要でしょうか。
(中釜理事長)
 膵臓に嚢胞のある方が、膵臓がんになるのはごくまれです。ただ、リスクがゼロではないので、定期的な超音波検査をお勧めします。

〇質問者2
大腸がんの便ヒトヘモグロビン検査では、見逃しがあり得るので、ほかに3年、4年に1回、大腸内視鏡検査を推奨したらどうでしょうか。
(中釜理事長)
国は、検診における大腸内視鏡検査の有用性を検証している段階です。大腸内視鏡でも平べったく浸潤しているがんを見つけるのは難しい状況です。今後、人工知能を使った内視鏡技術など検査技術が進むと思います。

〇質問者3
コロナ禍でがん検診受診率が下がったと聞きます。今後、がん発症に影響が及ぶことがあり得るでしょうか。
(中釜理事長)
今のところまだその点に関するデータはありませんが、影響する可能性はあると思います。特に、2020年のがん検診受診率は下がりました。そのことで、がん生存率にどう影響するかはまだ時間がかかりますが、現場の感覚としては進行したがんが多いように感じます。

〇質問者4
コロナ感染が原因で、がんになる可能性はあるでしょうか。
(中釜理事長)
コロナ感染が、直接、がん発症に影響するかどうかは知られていません。
ただ、コロナ感染によって、血栓が出来やすいとか、がんに伴う症状が変わるリスクはあり得ます。

〇質問者5
悪性度が強い神経内分泌腫瘍の前立腺がんを、早期に見つける方法はありませんか。
(中釜理事長)
PSA検査は、前立腺がん診断の有効な方法ですが、5%~10%は見つからない、がんがあります。進行性がんを早期に発見する方法として、血液検査による診断方法が今後さらに開発されると思います。

〇質問者6
パンデミック発生時における日本の対応はいかがでしょうか。
(中釜理事長)
コロナ禍前の感染症は幸いにも広がらず割と早く終息しましたので、感染対策の議論は一時的な議論で終わり、十分な対策が立てられませんでした。そのため、発症前から感染が広がった今回の新型コロナウイルス感染症に対しては、必ずしも対応が十分ではない側面もありました。
日本も米国CDCのように、感染症に対応する組織が、国立感染症研究所と、国立国際医療研究センターを統合して創設されることになっています。